物販ビジネスを徐々に大規模なものにしていくと、個人事業主のままでは煩わしいことが増えてきます。
というのも、日本の法律や社会通念では「個人事業主」という肩書きはそれほど信頼されているとはいえず、取り引きにおいてもなんらかの制約を課せられることが多いからです。
そのため、本腰を入れて物販をするため、あるいはわずらわしい手続きを簡略化するため、「法人化(法人成り)」する人も少なくありません。
法人とは、いわば「個人」から「会社」になることです。
取引先と会話するとき、「○○(自分の名前)です」と名乗るのと、「××会社社長の○○です」と名乗るのとでは、信用も大きく異なってきます。
そこで、ここでは法人化の手続きの簡単な方法と、その費用、そしてメリット、デメリットについてまとめていきたいと思います。
法人化の手続きの方法とその費用は?
法人化を行うために必要なのは、各種手続きです。
具体的には、「定款(会社を作るために必要な書類)」の提出と資本金の払い込み、それから会社設立登記を行わなければなりません。
それに加えて税務署、都道府県、労働基準監督署などに色々な書類を提出しましょう。
これが終わったら、ようやく法人が誕生します。
あとは法務局にいってこれまで個人事業主として稼いだお金を法人の資産にしたりする「財産の移行」を行わなければなりません。
それぞれについて、簡単な解説を紹介していきましょう。
定款の提出・資本金の払い込み
定款とは、作った会社が法人として扱われるために必要な書類です。
いわば会社のルールを定めたものなので、公証役場で必ず認証してもらわわなければなりません。
資本金は、会社がやりくりするお金です。
個人的な物販事業を法人化する場合、自分がやりくりするお金を資本金にするといいでしょう。
資本金の振込は発起人の口座に資本金を振り込むだけなので特に難しいことはありません。
書類の提出
多種多様な書類を提出しなければなりません。
大きくわけると、「税金に関する書類を税務署へ」「手続きに関する書類を自治体へ」「健康保険に関することを年金事務所へ」「労働保険に関することを労働基準監督署へ」「雇用保険に関することをハローワークへ」提出します。
いずれにしても該当の施設に行けば必要書類を準備してくれますが、それなりに時間を取られるので時間に余裕を持って赴くようにしましょう。
僕自身が法人になった時は、税理士と契約の特典でこの書類の提出を無料で行ってくれるました。
そのように無料で行ってくれる税理士は多くいるので探して見るのは良いでしょう。
財産の移行
せっかく法人を設立しても、個人の財産からお金を出している扱いでは、法人化した意味がありません。
よって、自分が物販ビジネスに使うぶんのお金を、法人のものとして移行しておきましょう。
方法は「売買契約」「現物出資」「賃貸借契約」の3つがあります。
自分の事情にあったものを選択しましょう。
なお、書類の提出先は公証役場か法務局です。
法人化にかかる費用は?
個人事業主が法人化するためには、上述したように様々な書類が必要です。
当然、これらの書類も無料というわけではありません。
中でも最も高額なのが、定款の書類です。
これを紙で行う場合は9万円、電子定款でも最低5万円の手数料が必要になってきます。
それに加えて、会社の登記を行う必要がありますが、こちらにもお金がかかることを覚えておきましょう。
これにかかる金額は登録免許税の「最低15万円」です。
よって、法人化のためには最低20万円の手数料がかかるということを覚えておきましょう。
法人でも株式会社か、合同会社かなど会社により費用が異なります。
またこのような定款や必要書類などを代行してくれるサービスもあるのでその利用もかなりオススメです。
法人化のメリット、デメリットについて
前述したように、法人化には決して安くはない手数料がかかります。
では、個人事業主がわざわざ法人化するメリットはどこにあるのでしょうか。
以下に、そのメリット、デメリットについてまとめていきたいと思います。
法人化のメリットとは?
最も大きなメリットは、法人化することで節税をすることができるという点でしょう。
法人の税金は大小に限らず、基本的に34.62%の税金を課せられます。
一見するとかなり高額なように見えるかもしれませんが、仮に年間500万円以上の利益を物販で出していた場合、所得税のほうがより高額な税金を支払わなければならないのです。
その金額は最大40%となっており、法人化した際に支払う金額はより少額で済みます。
それに加えて、冒頭に述べたように社会的な信用度が増すのも大きなメリットです。
信用度があがることがメリットになるのは、なにも取引先との関係だけではありません。
法人になることで、金融会社からの信頼度もあがり、何か新しい事業をはじめる際の資金調達も容易になるのです。
さらに、人手を集める際も法人という称号は大変有効な手段として働きます。
法人化のデメリットとは?
法人化をすることには大きなメリットがありますが、当然ながらその裏目もあります。
まず、赤字になってしまった場合でも税金を支払う必要が出てきます。
物販の「読み」を外してしまった場合、貯金を切り崩してお金を支払わなければならないのです。
一方、個人事業主であれば赤字になった分のお金を支払う必要はありません。
それに加えて、法人化する場合は社会保険に加入することが必須になるのもデメリットです。
社会保険のための金額は決して安くありません。
特に従業員が少ない場合、社会保険の費用が大きな負担になってしまうでしょう。
また、会計と事務手続きが複雑化するのもデメリットのひとつです。
個人事業主でいる分には会計処理など、個人で行える部分が多いのですが、法人になると素人ではなかなか難しいものが増えていきます。
その結果税理士や会計士を雇う必要が出てきて、さらに人件費が必要になります。
まとめ
個人事業主が法人化する際には、決して安くは無い手数料がかかります。
そのうえ、場合によっては人件費が高騰してしまう可能性もある、という点も注意したいところです。
また、万が一赤字になった場合は会社を解体する際も考えなければなりません。
ただ、継続して利益を出せるのならば法人化のメリットは大きく、より稼ぐ範囲を広げることが可能です。
法人成りの目安は年収800万円以上と言われていまのでぜひ参考にして見てください。
いずれにしても、メリットデメリットを鑑みて、より自分にとって得になる方法を選択していきたいところですね。
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